コロナによる自粛期間に、私たちは多くのことを学ぶ機会がありました。ウィルスについて、感染について、そして予防について。自分の行動が経済活動にどう結びつくのか。仕事が減った/なくなった人たちをどのように救済するのか。私のような大学教員は、ZoomやGoogle Classroomなど、テクノロジーについて詳しくなったものがあります。小学校から大学まで、日本のICT教育が他の先進国より遅れていることも明らかとなりました(これは改めてブログを書きましょう)。
コロナと自粛が終息に向かい始める(と願いたい)ときに学ぶことになるのが、心理学です。すでにお気づきのように、コロナウィルスに感染し回復した人、コロナウィルスの治療に携わった医療者に対する、偏見や差別があります。同じように自粛をしなかった人たちに対して、コロナウィルスに感染したかしなかったかで、この差別感情に差が出ることもわかってきました。
差別や偏見の他にも、心理学的な問題として「病気不安」があります。今回から数回に渡って、この病気不安を取り上げます。病気不安について理解するために、今現在 (2020年の初夏)、みなさんの予防行動について聞いてみます。今、あなたが、やっていることを数えてみてください:
1. ライブハウスを避けますか?
2. 家に帰ったら手洗いをしますか?
3. 風邪をひいたらマスクをしますか?
4. アルコールで手を消毒しますか?
5. 居酒屋での飲食を避けますか?
6. 外出時は常にマスクをしますか?
7. 散歩やジョギングでもマスクしますか?
8. 電車やバスに乗ることを避けますか?
9. マスクを備蓄しておきますか?
10. トイレットペーパーを備蓄しておきますか?
多くの人が、半分以上、つまり、5つ以上の予防行動をやっているのではないかと予想しています。コロナウィルスに感染した際に重篤化するリスクが高い人は、もっと多くなるかもしれません。
それでは次に、こんな状況を想像してみてください。202X年、コロナウィルスが世界からなくなり、コロナに感染するリスクが極めて低くなったとしたら...みなさんはいくつのことをやっているでしょうか。増えているでしょうか、減っているでしょうか、変わらないでしょうか。もし、予防行動の数や程度が変わらない、むしろ増えているとしたら、それは病気不安の特徴かもしれません。
文:国際医療福祉大学 赤坂心理学科 HIKARI Lab監修 小堀修