コロナ禍における自宅待機での飲みすぎに注意!

May 8, 2020

日本全国に非常事態が宣言され、外出自粛要請によって自宅で過ごす時間が大幅に増えたかと思います。テレワークやオンライン受業が増え、そして飲み会もオンライン飲みが急増していると言われています。オンライン飲みを含め、自宅での飲酒が増えてはいないでしょうか?ライフスタイルの変化は、大きなストレスとなることがあります。新型コロナウィルスのストレスを発散するため、お酒が飲みたくなることはないでしょうか?こうした状況下においては、飲酒量や飲酒問題の増加が懸念されます。

 適度な飲酒はストレス発散や気分転換などにもなります。しかしその一方で、飲み過ぎにも注意が必要です。厚生労働省によると適度な飲酒の目安は、1日平均純アルコールで20gとしています1)。これを酒類で目安とすると、「缶チュウハイ350ml(7%)1本」、「缶ビール500ml(5%)1本」、「ワイン(12%)グラス2杯」、「日本酒(15%)1合」、「ウイスキーダブル(40%)1杯」が相当します。なお、女性の場合は男性の1/2から2/3の飲酒量が推奨されており、元々体質的にお酒が弱い人や65歳以上の高齢者も少量の飲酒が推奨されています。

飲酒すると気分が良くなった感じが一時的にするかもしれませんが、持続的な飲酒は、うつ状態を悪化させることがあります。また、飲酒すると寝つきが良くなったように感じるかもしれませんが、持続的な飲酒は不眠症を悪化させることがあります2)。他にも飲酒の影響で暴力的となり家庭内暴力の原因となったり、仕事や学業、家事がおろそかになったりする可能性もあります。そして、持続的な飲酒は、アルコール依存症のリスクを高めます。

アルコール依存症とは、飲酒の頻度や量などを自分でコントロールできず、「1杯だけにしよう」、「休肝日を作ろう」と思っても守れなかったり、「断酒をしよう」と決意したとしても、自分の意志に反して飲酒してしまうという「脳(脳内報酬系)」の機能不全に起因する精神疾患です。

 今回は、アルコール依存症となるリスクを予防するため、適度な飲酒を続けるため(節酒)の方法をご紹介します。なお、アルコール依存症の治療の前提は断酒となります!

1)飲酒のメリット・デメリットを考え、方向性を決める。自分に必要なのは節酒か、あるいは、このまま現状維持かという今後の方向性を自分で決めましょう。

2)自分で飲酒のルールを決める。飲酒の頻度・時間・量等のルールを自分で具体的に決めてみましょう。例えば、「週1回は休肝日」、「〇時から〇時だけに飲酒」、「1日〇杯まで」、「一人飲みはせず誰かと一緒に飲む」といったようにです。これはご家族など身近な人にも伝え、協力してもらうのが効果的です。

3)飲酒の日記をつける。毎日の飲酒時間や量、飲酒のルールを守れたか等を記録して、厚生労働省が示す適度な飲酒目安とも比較してみましょう。

4)お酒以外の趣味やストレス発散方法を見つける。飲酒だけが趣味であったり、ストレス発散方法であると、節酒が難しい場合もあるので、新しい趣味やストレス発散方法を見つけましょう。

 以上を数週間、数か月といったようにある程度の期間続けてみてください。適度な飲酒を続け、コロナ禍を乗り切りましょう。もし、自分で決めたルールを守れたら、何かご褒美を自分に与えるのも良いと思います。もし、反対に自分で決めたルールがなかなか守れないという場合は、ルールのハードルを見直してみましょう。最初からルールのハードルが自分にとって高い場合は、簡単なものから設定して、徐々にハードルを上げていきましょう。それでもルールが守れない、即ち節酒が難しい場合は、お近くの依存症専門の医療機関か行政機関の窓口にご相談してみてはいかがでしょうか。

 

参考文献

1)厚生労働省.健康日本21(アルコール).  https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b5.html#A56 (2020年4月30日閲覧)

2)松本俊彦・今村扶美.SMARPP-24物質使用障害治療プログラム.金剛出版, 2015.

文:阿相 周一

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