ロボットは感情を持ちえるのか (6): 感情が私たちに与える影響

January 27, 2021

私たちの健康を維持、増進する、ヘルスケアにおいて、ロボットが目覚ましく発展するようになりました。私たちの心のケア、メンタルヘルスのケアに、ロボットは参入できるのでしょうか。

 

今回は、感情が私たちの「認知」に与える影響について学んでいきます。認知とは、注意、記憶、判断、評価など、私たちの心の中の活動全般を指すものです。

 

私たちは気分がむしゃくしゃすると、ジャンクフードやアルコールの摂取量が増えることがあります。心理学の研究では、落ち込んだ気分、いらだち、緊張によって、炭水化物の消費が増えることがわかっています。

 

これをロボットに応用するとどうなるでしょうか。例えば、太陽光を取り込んで充電する掃除ロボットがあるとします。通常、掃除ロボットは太陽光で充電しようとするけれど、(フィルターが詰まるなど) ストレスがあると、気分が悪くなり、部屋のなかを探索して、コンセントのプラグを探すかもしれません。つまり、調子が悪いときは「手っ取り早く」充電を済ませるようなプログラミングをすることになります。

 

感情が私たちの認知に影響する働きのひとつに、気分一致効果、というものがあります。気分がよいときほど、よいできごとを思い出しやすくなり、気分が悪いときほど、悪いできごとを思い出しやすくなります。このように、現在の私たちの気分が、思い出す記憶に影響します。

ロボットが私たちのように気分一致効果をプログラミングするとしたらどうなるでしょうか。Zoomには録画機能があり、これまでのミーティングをクラウドに保存することができます。Zoomの機嫌がよいときは、Zoomが「うまくいった」と判断したミーティングの録画を再生できますが、Zoomの機嫌が悪いときは、Zoomが「あれはまずかった」と判断した録画だけ再生できるとします。すると、現在の気分がよいか悪いかということに加えて、Zoomがミーティングを「よかった」「まずかった」と判断したうえで保存するようなプログラミングが必要になります。

 

ロボットが笑ったり怒ったりするなど、表情を変えたり、優しい言葉や意地悪な言葉を話すなど、感情を持っているように振る舞うことは、簡単にプログラミングできるかもしれません。ところが、私たちに備わった感情は、はるかに複雑にできており、同じような感情をプログラミングするのは、気の遠くなるような作業に思えてきますね。

 

今回は、感情が私たちの「認知」に与える影響について学びました。次回は反対に、認知などが感情に与える影響についてみていきます。


文:国際医療福祉大学 赤坂心理学科 HIKARI Lab監修 小堀修

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